『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』あらすじと見どころを解説

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2016年3月25日、『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(原題: Batman v Superman Dawn of Justice)で、バットマン対スーパーマンという、全世界が待ち焦がれた禁断の対決がついに実現する─。
世界中で愛される2大ヒーローは、なぜ闘うのでしょうか。そして、今作の見どころとして注目したいポイントは?

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 予告編(日本語字幕)

スーパーマンとバットマン これまでの共演歴は?

初顔合わせは、なんと1940年

スーパーマンとバットマン 初顔合わせ

画像出典:http://www.vulture.com/2013/07/history-batman-and-superman-through-the-years.html

DCコミックの発行するコミックブックにおいて、スーパーマンとバットマンはこれまで幾度と無く共演を繰り返しています。
二人が紙面上で初共演を果たしたのは、なんと今から75年前、1940年に発行された『New York World’s Fair Comics』でのこと。
ただしこの時は、表紙でのみの共演となり、二人がストーリーの中で絡むことはありませんでした。

エピソード内での初共演は1952年

1940年に初顔合わせを果たしてから実に12年の年月が経過した1952年、ついにスーパーマンとバットマンのクロスオーバー作品が誕生します。
初共演の舞台は、スーパーマンのコミックでした。

休暇を取得したブルース・ウェインとクラーク・ケントが偶然、同じ客船に乗り合わせ、しかも客船側の不手際で、二人を同じ部屋にブッキングしてしまいます。安いトラブルもつかの間、ダイアモンドの窃盗犯が出現し、事件が発生すると二人はスーツに着替えアクション・シーンに。

このコミックの表紙では、「これはスーパーマンの仕事だ!」「いやいや、バットマンの仕事だ!」とお互いに自己主張しあう二人が描かれています。

スーパーマンとバットマンの初共演

画像出典:http://www.vulture.com/2013/07/history-batman-and-superman-through-the-years.html

『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のあらすじ

バットマン vs スーパーマンのストーリーは、スーパーマンの単独作品『マン・オブ・スティール』の続編にあたります。

マンオブスティール

画像出典:http://djprincenorway.deviantart.com/art/Man-Of-Steel-ready-for-battle-367821649

彼が地球の危機を救って以来、人々はスーパーマンを「英雄」と認める一方、「地球外から来た脅威、異星人」とし、地球から追放すべきという排除派の世論も強まっていきます。

スーパーマンは「偽の神」か

『マン・オブ・スティール』のクライマックスシーンでは、ニューヨークでスーパーマンとゾッド将軍が大規模な市街戦を繰り広げるのですが、その際にブルース・ウェインは自身が保有するビルが破壊されてしまうという全然シャレにならない被害に遭い、そこからスーパーマンを敵対視するように。

ブルース・ウェインのビルを破壊してしまうスーパーマン

このシーンでブルースは携帯電話を片手に通話しています。
おそらくブルースにとって大切な人がビル内に取り残されていて、避難するように電話で指示をするも間に合わず…といったところでしょうか。

電話で誰かに呼びかけているブルース・ウェイン

結果としてブルースは、バットマンとしてこの異星人、カル・エルことスーパーマンを止めようと試みるのです。

マン・オブ・スティールのクライマックスの戦闘には、ブルース・ウェインも巻き込まれていた

バットマン vs スーパーマンの見どころは?

迷えるスーパーマンと、熟練の戦士バットマンのコントラスト

クリプトン星人という本性を隠し、新聞記者として地球人に紛れて生活するクラーク・ケント。加えてスーパーマンの存在を良しとしない世論も高まり、自身のアイデンティティや存在価値に苦悩する、「迷えるスーパーヒーロー」として描かれるのではないかと考えています。
スーパーマンといえば、完全無欠のスーパーヒーローというパブリック・イメージがありますが、今作ではむしろバットマンの方が、彼を経験や知性でリードする立場になりそうです。

経験を積んだブルース・ウェイン

ザック・スナイダー監督は、「歳を重ね、長い戦いを経て疲れきったバットマンを描きたかった」と語っており、1973年生まれ、今作撮影時には43歳のベン・アフレックの実年齢よりも少し年上に見えるように手を加えたそう。
今作のブルース・ウェインは、少し白髪を蓄え始めた、熟練のベテラン・ヒーローとなりそうです。
参考:http://www.comicbookresources.com/article/zack-snyder-really-excited-about-the-dark-knight-of-batman-v-superman

長年、地球でヒーローとして活動を続ける”先輩”バットマンは、葛藤の中で闘う若きスーパーマンにどのような手ほどきをするのでしょうか。

ブルース・ウェインとクラーク・ケント

EMPIRE誌のカバーを飾ったブルース・ウェインとクラーク・ケント。まるでハードボイルド・ドラマのよう。
画像出典:http://batman-news.com/2015/07/29/ben-affleck-on-playing-a-fcked-up-batman-more-new-images-from-batman-v-superman/

あくまで人間のバットマンは、いかに闘うのか

「バットマンは、スーパーマンやワンダーウーマン、フラッシュとは違って、力を持たない男だ。」スナイダー監督は語ります。

「彼はただの男。我々と同じ存在。これがポイントだと思った。僕達はみんな、いつも心のなかにヒーローを宿している。それがバットマンなんだ。」「僕達の中にいるヒーロー、そのヒーローとは僕達自身なんだ。彼はただの人間。そして、僕達はみんなバットマンという事なんだ。
参考:http://www.comicbookresources.com/article/zack-snyder-really-excited-about-the-dark-knight-of-batman-v-superman

いくら百戦錬磨の年長ヒーローとして描かれようとも、そもそも地球人ではないスーパーマンとまともに戦えば勝てるはずもありません。スーパーマンの手にかかれば、2秒くらいで決着がついてしまうのではないでしょうか。

ここで、スーパーマンのパワーをおさらいしていおきましょう。

  • 80万トンの物を持ち上げ、40メガトンの核爆発に耐えられる。
  • 最高時速800万キロの飛行スピード。
  • 眼から熱光線を発射できる。

劇中では、対スーパーマン用に特別に開発されたバットマン・スーツが登場しますが、地球上のありとあらゆる技術を結集してもスーパーマンの力には及ばないはずです。地球人からすれば、スーパーマンなんてチートキャラ。
直接戦闘は避けたいはずのバットマンは、どのようにして彼と「対決」するのかが見者です。

 

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Batman v Supermanさん(@batmanvsuperman)が投稿した写真 –

作風はシリアス調か

MARVELヒーローの作品は、アベンジャーズ、ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー、アントマンに代表されるようにコメディ要素も取り入れられていますが、DCコミックスの作品は一貫してシリアス。
ダークナイトシリーズや、マン・オブ・スティールでもギャグシーンは皆無で、リアリズムを追求した大人な内容となっています。

オトナも楽しめるハードボイルド作品に仕上がったダークナイト三部作

大人も楽しめるハードボイルド作品に仕上がったダークナイト三部作
画像出典:http://www.filmofilia.com/18-hi-res-the-dark-knight-rises-photos-81591/

ザック・スナイダー監督は、「(バットマンvsスーパーマンは)シリアスで、ギャグの一切ないものになりますか?」という質問に対して、
「みんな、これまでに公開されている2つの予告編を観る限りで推察せざるを得ないんだね。
もっとお見せできるようになったら、また色々わかると思うよ」
と意味深な回答。
参考:http://www.comicbookresources.com/article/zack-snyder-really-excited-about-the-dark-knight-of-batman-v-superman

ただ、『300』『ウォッチメン』といったザック・スナイダー監督の過去作品から考える限り、やはりコメディ・シーンはほぼ無く、前編シリアス調の作風となりそうです。

フランク・ミラーの影響

『ダークナイト:リターンズ』の原作コミックほか、『デアデビル』『シン・シティ』『300』『ウォッチメン』などの原作コミック手がけ、「現代最高のライター」と呼ばれるコミック・アーティスト、フランク・ミラー。ザック・スナイダーは彼から多大な影響を受けた事を認めています。

フランク・ミラー

「現代最高のライター」との呼び声高いコミック・アーティスト、フランク・ミラー
画像出典:http://www.geeksnack.com/2015/05/31/an-ode-to-frank-miller/

「これまで、数多くの偉大なアーティストたちがバットマンを描いてきたし、数多くの偉大なコミックが創られてきた。数えきれないくらいにね。
フランクとそんな話をしていたんだ。“ダークナイト・リターンズ”は僕に大きな影響を与えた。映画で実写化できる事になり、彼には敬意を払いたい。」

ダークナイト リターンズ

ザック・スナイダー監督が影響を受けたと語る、フランク・ミラーの『ダークナイト リターンズ』
画像出典:http://www.comicvine.com/batman-the-dark-knight-returns-tenth-anniversary-e/4050-56749/

『ダークナイト』三部作とは異なるバットマンのコスチューム

クリストファー・ノーラン監督が手がけた『ダークナイト』シリーズのバットマンのスーツが装甲的であったのとは対照的に、スナイダー監督は「非常にハッキリとしたアイデアがあって、布生地をベースとしたコスチュームのバットマンにしたかったんだ。普通のアーマー的なバットマンじゃなくってね。」と語っていますが、このアイデアもフランク・ミラーの原作コミックデザインから得たインスピレーションと言えそうです。

布生地ベースのバットマン

フランク・ミラー版バットマンは、布生地のコスチュームを着用している。体型もずんぐりむっくりタイプだ。
画像出典:http://acephalous.typepad.com/acephalous/2009/04/teaching-rhetoric-via-warren-ellis-planetary-batman-night-on-earth.html

バットマン vs スーパーマンでのバットマンのコスチューム

今作でのバットマンのコスチュームは、布生地がベースになっているのが最大のポイント。原作のデザインを忠実に再現している。
画像出典:http://www.theverge.com/2015/7/9/8923191/comic-con-2015-batman-vs-superman-dawn-of-justice-costume-photos 

 

#SDCC attendees, be sure to check out our #BatmanvSuperman costumes on display at the #WB booth!

Batman v Supermanさん(@batmanvsuperman)が投稿した写真 –

規格外の制作費

現段階で、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの夜明け』の制作費は4億1,000万ドルにまで膨れ上がっており、映画作品の制作費としては過去最高額となる『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』の4億1,000万円とタイ記録となります。

参考までに、アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロンの制作費は2億5千万ドル。
規格外の対決は、おカネの方も規格外となりそうです。

最も偉大なふたりのヒーローが対決する!

気になるポイントはたくさんありますが、やはり「スーパーマン」と「バットマン」という、誰もが知るヒーローが共演・対決するというのがなんといっても一番の見どころではないでしょうか。
MARVELのアベンジャーズでは、アメコミに詳しくない人からすれば「誰?」というキャラクターも多く、「分かる人には分かる」部分があることも否めません。
しかし、流石にバットマンとスーパーマンの存在をまったく知らなかったという人はいないでしょう。

バットマン対スーパーマン画像出典:http://imgzz.info/2015/08/batman-vs-superman.html

アメリカの大手ゲームサイト『IGN』が発表した『TOP100 コミックブックヒーローズ』でも、1位と2位をスーパーマンとバットマンの二人でワンツーフィニッシュ。(ちなみに3位にはMARVELからスパイダーマンがランクイン。)
結局、知名度や影響力の面で、スーパーマンとバットマンを凌ぐヒーローはこの世界には存在しないのです。

バットマン vs スーパーマンのエグゼクティブ・プロデューサー、デイヴィッド・ゴイヤーは、既に同作の最終カット版を観ている数少ない人物の一人であり、最終版を初めて観た時の興奮をメディアに話しています。

「毎週土曜日に本屋さんに行って、二人の偉大なキャラクターが対決するコミックを読んで育った子供に戻ったみたいで、めまいがする思いです。
自分がこんなものに携わっているんだっていう事実がもうクレイジーですね。ましてや、バットマンの作品に2作連続で携わっているのもクレイジーです。」(デイヴィッド氏はダークナイト:ライジングでも脚本を手がけています。)
参考:http://www.idigitaltimes.com/batman-v-superman-producer-david-goyer-shares-his-reaction-seeing-film-first-time-484620

また、ザック・スナイダー監督は、今作の「偉大さ」について、こんな挑発的なコメントも残しています。

「バットマンとスーパーマンは、スーパーヒーロー映画を超越している。だって、バットマンとスーパーヒーローだよ?
いま話題になっているアントマンとは違うんだよ。別に意地悪言うわけじゃないけど、とにかくそうなんだ。次のブランク・マンはなんだろうね?(ブランク=空白)」
参考:http://variety.com/2015/film/news/zack-snyder-batman-superman-not-flavor-of-week-ant-man-1201589800/

ザック・スナイダー

「バットマン vs スーパーマンは、流行りのアントマンなんかとは違うんだ」余裕たっぷりのザック・スナイダー。
画像出典:http://eigasirout.exblog.jp/14656685

「なぜ、闘うのか」これが、今作のキャッチコピーです。
これまで、別作品のキャラクター同士が共演する「異色の対決」系の映画は「エイリアンVSプレデター」「フレディVSジェイソン」などがありましたが、いずれも「どっちが勝っても、人類に未来はない(エイリアンVSプレデターのキャッチコピー)」など、観客に「どちらが勝つんだろう」と期待させるスポーツ観戦的な楽しみをもたらす作風でした。

ところが今作では、そもそもなぜ二人のヒーローが戦わなくてはならないのか、そこに焦点を当てている。
強さで言えばどう考えてもスーパーマンに軍配が上がりそうなのですが、そうあっさり決着がつくはずもない。きっと様々なドラマやキャラクターの葛藤が描かれているはず。
そこで、二人が対峙しなくてはならない「理由」の展開を見せ場にしているであろう点が、ザック・スナイダー監督が言うようにスーパーヒーロー映画を超越していると言えるのです。
単なる「地球を守る!」というありがちなヒーロー映画でなく、骨太なストーリーが尊重された大人の作品に仕上がっているのではと期待しています。

バットマン対スーパーマンと銘打たれていますが、果たして二人は本当に対決するのでしょうか?
最終的には、地球規模のパブリック・エネミーが再度登場し、二人が力を合わせて共闘するのかもしれません。

そして、舞台はジャスティス・リーグへ

バットマン vs スーパーマンの邦題サブタイトルは『ジャスティスの誕生』
原題は”Dawn of Justice”ですが、”Justice”のみそのままカタカナに置き換えられており、なんだか中途半端な印象があるのでは。

これには理由があり、DCユニバースは今後『ジャスティス・リーグ』の名の下にDCヒーローたちが結集する、DCコミック版アベンジャーズとも言うべき展開を用意しています。

ジャスティスリーグ

画像出典:http://monoswg.exblog.jp/17020195

ジャスティス・リーグは二部作構成となっており、Part1が2017年、Part2は2019年の公開予定となっています。
また、バットマンvsスーパーマンを皮切りに、ジョーカーやハーレイ・クインらヴィラン・チームをフィーチャーした『スーサイド・スクワッド』やワンダーウーマンなどの映画化が決定しており、マーベル・シネマティック・ユニバースに追い付けとばかりの怒涛のラインナップが待っています。

今作『バットマン vs スーパーマン』は、後続するジャスティス・リーグ・シリーズのスタート作品という位置にあたるため、『ジャスティスの誕生』という副題がつけられているのです。

映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』公開日は2016年3月25日(金)、3D/2D/IMAX同時公開となっております。

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 公式サイトはこちら

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